ともに暮らす団地 田原団地

作者:渡邊 一樹

作品について
現代の人々の居住スタイルの選択肢として候補に上がるのは、一軒家に住むかアパート・マンションに住むか、の二択が一般的であると考える。おそらく、新生活を始めるにあたって「団地に住む」という選択肢を考慮する人は少ないだろう。しかし、団地は現代の一軒家やアパート・マンションでの生活では体験することが難しい機会に恵まれた環境であると私は考えた。入居者の高齢化や建物自体の老朽化によって段々と衰退していく団地だが、その一方で著名な建築家やデザイナーなどが手がけた団地の再復興プロジェクトがあるのも事実だ。私は今回、地元である山梨県の都留市に所在する田原団地を舞台に、「団地ならでは」の環境を利用し、団地の再復興案を提案する。
 構造的な部分(ハード)として、パブリックな空間とプライベートな空間を接続する空間としての「団地的土間」や、ネパールのカトマンズでよく見られる「パティ」と呼ばれる屋根付きの半屋外空間の実装、敷地内に併設されている託児所と道路を接続する目的と、小学校低学年までを主な対象とした広場である「芝生広場・屋内広場」を設ける。
 仕組みの部分(ソフト)として、住民間でお互いの悩みや相談から解決法までを共有する「お悩み相談掲示板」や、高齢者に社会と関わる機会を提供する「社会的処方」の場としての機能を持たせた。
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