補完する集合住宅
集い、シェアする街への入り口
個人で所有できるものの幅が増えた現代の世の中では、住まいは部屋や家といった「箱」の中に収められている。「箱」の中で生活が完結し、便利である一方で、人との繋がりが希薄化したという側面がある。そのような「箱」の集合体である集合住宅に一人暮らしをするようになって感じた不安感、孤独感を元に「集まって住まう」ことについて見つめ直し、現代の集合住宅に落とし込むことが私の研究テーマだ。 この作品は集合住宅内のそれぞれの「箱」に収められているキッチン・洗濯・お風呂というような住むための機能“住機能”を「箱」から分解し、シェアするものとして再構築し、住機能をジョイントに住人や地域住民との接点を作ることを目的としている。そして、住人、地域住民、地域の足りない部分を補う“補完する”役割を担う場所へと昇華させることがこの作品のゴールである。 公私の境を、動線・機能・行為等で作り、空間的には繋がりつつ境界を有している空間を目指した。