重ねる切り絵暦「るいるい」

紙の特性を生かした生活アイテムの新たなデザイン

作者:林 芙美代

作品について
この作品は、めくっていくことで切り絵でできたグラフィックが完成する卓上日めくりカレンダーである。コロナによる外出自粛の影響で生じる日付感覚の狂いを解決する目的で制作した。月末に完成する絵柄には、カレンダーに日付確認以外の目的を追加することで、カレンダーの確認をより能動的にさせるという狙いがある。色合いや質感にこだわった紙を用いて、月ごとに季節や年中行事をイメージしたグラフィックをデザインした。
コメント

INTERVIEW

Q1.作品のアピールポイントを教えてください。
A.カレンダーをめくっていくことで段々と完成していくグラフィックです。この作品は従来のカレンダーとは違い、グラフィックの完成という楽しみが追加されています。完成させたいと思わせられるように見応えのある完成形になるよう制作しました。絵柄は季節感を感じられるようなデザインで、紙の重なりによって奥行き感のある立体的な作品となっています。途中で絵柄の内容が変化する月も一部あり、楽しませる工夫をしています。
Q2.制作の動機は何でしょうか?
A.今までの授業の制作を通して、紙という素材が持つ人の感性に響く特性に興味を持ち、紙を素材に用いて人の生活を豊かにする新しいデザインを作りたいと考えました。制作するにあたり、紙の特性を生かすことができ、今の時代に必要となる生活アイテムは何か考えました。新型コロナウイルスの影響による外出自粛などによって家で過ごすことが多く、日付感覚が狂ってしまった経験から日付を確認することの重要性を感じ、カレンダーを制作することに決めました。
Q3.制作する上で大切にしていることはありますか?また、それを制作にどう活かしましたか?
A.見る人、使う人に少しでも驚きを与えられるようなデザインにすることを意識して制作しています。そうすることで、既存のものにはない新規性のあるデザインを考えることができ、人の印象に残る作品を制作できると考えています。卒業制作では、徐々に完成していくグラフィックの変化や、完成後で驚きを与えられるような作品づくりを行い、新規性のある日めくりカレンダーを作り上げることができました。
Q4.コロナ禍の制作は、苦労も多かったと思いますが、工夫して乗り越えた点などあれば教えてください。
A.予定を立てて制作したことで乗り越えられたと思います。私の作品は、カレンダーの切り絵部分の紙を切る作業量が膨大で、提出期限までに完成させることができるか不安でした。そこで、制作スケジュールを立てたことで、どのように行動すれば期日までに完成させることができるのか把握することができ、制作もスムーズに進みました。かなり作業量のある作品でしたが予定を立てて制作したことで、提出期限内に満足いくレベルのものを完成させることができました。
Q5.後輩たちに向けて、卒業制作を行う上でのアドバイスがあれば教えてください。
A.まだオンライン上での授業のもとで制作を行うと思われますが、人との関わりが取りづらい状況でも、できる限り他の人のアイデアや、先生からの意見を聞く機会を設けるといいと思います。一人で制作していると独りよがりなデザインになってしまうかもしれないので、他者の視点を取り入れて制作することが大切です。家族でもいいので積極的に人と関わりながら取り組んで、後悔のない良い作品を作って欲しいと思います。

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