日本にくらすムスリムの日常 イスラムかるた

イスラム教について関心を呼び起こされるような最適な遊び方の追求

作者:林 優里

作品について
イスラム教に関する基礎知識と日本に住むムスリムの日常を学ぶことのできるかるた遊び。読まれた読み札に合った絵札を取り、裏面の解説を読むことでイスラム教についての知識に触れることができる作品である。イスラム教に気軽に触れられるように優しい配色と円で構成した親しみやすいイラストレーションを用いることで視覚的に楽しむことができ、遊びを通じてイスラム教徒とそうではない人の心の交流につなげたい。
コメント

INTERVIEW

Q1.作品のアピールポイントを教えてください。
A.この作品のアピールポイントは、イスラム教を身近に感じて頂けるようなイラストレーションと、「宗教=難しい」といったイメージの払拭を試みた点です。優しい配色と円で構成されたイラストレーションを用いて、視覚的に楽しむことができるとともに、イスラム教の基礎知識やムスリムの私生活(習慣やファッションなど)についての内容も取り上げ、より難しい印象を与えることのない作品になるよう心がけました。
Q2.制作の動機は何でしょうか?
A.動機は、日本のグローバル化に向けた作品を作りたいという思いがありました。現在ではムスリム(イスラム教徒)のためのサービスが少しずつ出始めているものの、日本でのムスリムの人口が少ないこともあり、イスラム教についての理解がまだまだ少ないと感じることがあります。日本のグローバル化により様々な異文化との交流が進む中、関わりを持つ機会の少ないムスリムについて少しでも知ってもらうことで、ムスリムとの心の交流を図ることができたら素晴らしいなと思いました。
Q3.制作する上で大切にしていることはありますか?また、それを制作にどう活かしましたか?
A.制作する時は、他の方からの作品の見え方について特に意識をして作りました。何よりもイスラム教を身近に触れて欲しいという思いがありましたので、イラストレーションからフォントまで、細かく修正を入れながら親しみやすい作品になるように表現を追求していきました。ゼミの中では、友人と様々なフォントを並べて検討したり、絵札のイラストの感じ方を聞いたりと、頂いた意見を活かして作品の中に取り入れることができたと思います。
Q4.コロナ禍の制作は、苦労も多かったと思いますが、工夫して乗り越えた点などあれば教えてください。
A.苦労した点は、かるたの読み札の文章と絵札の裏面に書かれている解説文です。私の制作内容が“宗教”ということもありデリケートな部分も多いため、誤解を招くような文章にならないよう細心の注意をはらいながら何度も考え直しました。また、ムスリムの方からもイスラム教について直接お話を伺い、「どのように感じるか」「どのように誤解を受けやすいか」などの検証も繰り返して行ってまいりました。
Q5.後輩たちに向けて、卒業制作を行う上でのアドバイスがあれば教えてください。
A.私の場合は、作品が印刷物であるため、試作段階から何度も印刷を繰り返して作品作りをしてきました。モニターで見る作品と実際に印刷したものでは、色味や文字の感じ方や紙によって与える印象もガラッと変わる事もあり、印刷して初めて気づくことも沢山ありました。パソコン上で作業する以上に、どのような作品でも、作品をつくる過程の中では実物に触れながら試行錯誤してゆくことが大切だと思います。

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